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智慧の胡椒論:エモさについて



2016年3月、Deep Mind社が開発した人工知能ソフトウェア「Alpha Go」が囲碁で韓国のトップ棋士イ・セドル九段を破った、というニュースが大々的に報じられ、Deep Lerningという新しい人工知能の可能性を世に知らしめる契機になった。

その事件を自分なりに解釈して、人工知能をテーマにした曲を作ろうと思ったのが、『智慧の胡椒を求めて』制作のきっかけだった。GUMI誕生祭が数日後に迫る6月後半のことだった。

当初考えていた楽曲のタイトルは『Artificial Emotion』(人工感情)だった。

というのは、以前から渡辺の楽曲によく寄せられる「エモい」というコメントが、自分の中でずっと引っかかっていたからだ。正直、あまり好きにはなれない言葉だった。

楽曲に限らず、あらゆる創作物には創り手がいて、創作物には創り手の思いが込められている。いわば人工感情である。
もしかすると、それこそが「エモい」という言葉が指し示すものの正体なんだろうか。そんなことを考えながら、作詞は最初のうちはなかなか進まなかった。

ソフトバンク社のロボット「Pepper」と、高村光太郎の詩集になぞらえて、「智慧の胡椒」というフレーズを思いついた後、状況は一変した。そのフレーズは、胡椒を求める人びとの巨大な意志が世界の大変革をもたらした大航海時代のイメージと結びついて、それからはもう言葉があふれ出してペンが止まらなくなった。残り4分の3ほどの詞を書き上げるのに、2時間もかからなかったと思う。そんな経験は初めてだった。その明確なイメージをもとに、タイトルも『智慧の胡椒を求めて』に変えた。

詞の内容は、IT系の知識を中心に、数学、現象学、文明論、宗教、魔術、古典、囲碁、漢詩、量子論、SF、国際情勢、ポストコロニアルなど、様々なテーマをメタファーで包んでいて、すべてのフレーズが隠された意味を持つように書いている。

一例を挙げると、

「伊勢の神楽と踊るは新時代」

という詞は、冒頭で紹介したイ・セドル九段を囲碁で破った人工知能の新時代を示唆している。
そんな風に隠された意味を想像しながら、言葉の迷宮を楽しんで聴いてもらえたら作者冥利に尽きるけれど、おそらく底辺Pの詞を文芸批評家のように分析するリスナーは皆無だと思うので、あまり贅沢は言わないでおこうと思う。

そういう意味で、この曲は目下、渡辺の曲の中では最も難解で、最も「エモくない」曲になっていると思う。

ちなみに、制作期間は作詞・作曲・調教・ミックスで約3日、イラスト・動画制作を含めて4日と、最も制作期間の短い作品になったことも付記しておく。

テーマ : VOCALOID
ジャンル : 音楽

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渡辺いと

Author:渡辺いと
(本名:渡辺峻)
1983年東京生まれ
【好きな音楽】
・クラシックピアノ
・アングラヒップホップ
・演歌
【好きな球団】
・阪神タイガース
【好きな汎用人型決戦兵器】
・エヴァンゲリオン弐号機

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